「ロード用の変速レバーがブレーキレバーと一体型になっているのが当たり前」という世代の方はご存じないと思いますが、昔はギアの組み合わせを1枚1枚自分の好みに組み替えるというのが常識でした。
だからたとえリアスプロケットのトップが12tで、ローギアが23tだったとしても、その間のギアはみんな違っていたんですよね。今なら12~21tだったら全て1t違いにしても11段ですが、ほんの30~40年ほど前までリアのギアは6~7枚しかありませんでしたから、コースや自分の脚力、調子などに合わせてレースの直前までギアの組み換えをするなんてことも珍しくありませんでした。
現在は少しでも変速によるショックを和らげ軽く変速出来るように、全てのギアの先の形状をコンピューターでデザインしているため、メーカーがあらかじめ設定した歯数の組み合わせを変えることは出来ません。例えばシマノのアルテグラ(CS-6800)の場合、6種類のスプロケットが発売されておりますが、当店で最も人気の組み合わせ、「11-28t」に注目してみましょう。
11-23T 11-12-13-14-15-16-17-18-19-21-23 |
11-25T 11-12-13-14-15-16-17-19-21-23-25 |
12-25T 12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25 |
11-28T 11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28 |
11-32T 11-12-13-14-16-18-19-20-22-25-32 |
14-28T 14-15-16-17-18-19-20-21-22-25-28T |
間の歯数をよ~く見てくださいね。歯数が小さい間(11-15t)は1tおきですが、15-25tは2tおき、最後は3tおきになってしまいます。これはどういうことかといいますと、高速のときは同じ1段でも細かくギア比が変わりますが、上り坂のような低速になると、1段変速しただけでもギア比が大きく変わるということです。
※ギア比・・・フロントギアの歯数÷リアギアの歯数 数字が大きいほど重たいギア比で、数字が小さいほど軽いギア比となります。
登り坂を登っている時、丁度良いギアが無い!っておもったことはありませんか?
あれは、ギアの歯数が2tおきだったり、3tおきだったりするからなんです。理想は全てのギアが1tおきなんですが、それを実現するには、12-28tならリア17段変速が必要です。リアエンド幅が150mmくらいあれば可能かもしれませんが、ペダルの幅も広がってしまって、そのデメリットも相当大きいでしょう。
下の写真をご覧ください。金色に輝く「レーコン」というブランドのスプロケットです。なんと1つのアルミの塊から削られて出来ています。
真横から見てみましょう。
11-28tはおわんを伏せたようなカタチ、11-30tは綺麗な三角錐をしていますね。
では、レーコンの12-28tと、シマノの11-28tを真横から比べてみましょう。
シマノは富士山のように末広がり、レーコンはおわん型。何故か?
レーコンの12-28tは、ロー側で歯数が1tおきなのです。
レーコンのスプロケットはアルミ製で軽いと言うだけでヒルクライム向きなのではなく、さらに、ロー側のギアが1tおきなので、登り坂での変速が細かく調整できるのです。
クロスギア(クロスレシオ)・・・スプロケットの歯数が1tおきの組み合わせのこと。反対語はワイドレシオ。
cs-6800の11-28tはトップ側でクロス、レーコンの12-28tはロー側でクロスとも言います。
ギアの組み合わせが「アウターxロー」や「インナーxトップ」のこともクロスとも言いますが、英語で書くと「cross(交差)」と「close(近い)」と全く別の意味となります。
スプロケットの裏側を見てみると、これが一つのアルミの塊からできていると言うのがよく解ります。中身すっかすかの空洞です。スプロケットをハブに固定するためのロックリング以外、一体です。
ただし、トップギアが11tから始まるものは、11tだけアルミ製ではなく鉄製です。小さいギアは磨耗が激しいので、いくら何でもアルミ製では耐久性を担保できなかったんでしょうね。
価格もデュラエースのスプロケットくらいと、見た目の割りに滅茶苦茶高価ということもありません。この黄金スプロケットで、ヒルクライムを駆け上ってみませんか。
レーコンのスプロケットはこちら
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