これだけ技術が進歩しても、オフロード走行においてはフロント変速機はリア変速機と比べて、何倍もチェーン落ちのリスクが高くなります。
フロントギアが3枚あるのが一般的なマウンテンバイクにおいても、フロントギアとチェーンとの間のトラブルを避けるために、フロントギアを2枚にするというライダーも少なくありません。現にそれを受けてあのシマノでも、フロント2枚のシステムをリリースしているくらいですから。
マウンテンバイクにおいては、それでも足らぬと、スラム社のように 「1 x 11sドライブトレイン」 というシステムをリリース。それくらいフロント変速のトラブルはシリアスなライナーになればなるほど避けたいものなのです。
スラムの1x11sドライブトレインの場合、スラムでしか使えません。マウンテンバイクコンポーネンツのみです。シマノのマウンテンバイクやシクロクロスバイクには転用付加。ならば自分で造っちゃえというのが、この世界の常ですね。
アメリカ・ミネアポリスに創業したばかりのMTBブランド、ウルフトゥースコンポーネンツです。
クランクとチェーンリングを止めるボルトの間隔(PCD)の違いで数種類生産されているのですが、ワールドサイクルで取り扱うのは、PCD110mmの通称「コンパクトクランク」 シクロクロスという自転車競技では標準といわれるサイズです。
刃先をアップで見てみましょう。まずは表側。
そして裏側。普通のチェーンリングと比べて、何が違うかわかりますか?
ちなみに、40t、42tではこの画像のように固定ボルトの上側に肉抜きが施されておりますが、36t、38tの場合は穴が開いておらず、裏側から半分くらいまで掘られています。(歯数によって見た目が少し異なります。)
答えは、歯の深さ(高さ)と、厚み。シマノの105のチェーンリングと比較してみましょう。
歯の深さ(高さ) | 歯の厚み(厚い方) | 歯の厚み(薄い方) | |
---|---|---|---|
ウルフトゥース | 7.2mm | 3.7mm | 2.0mm |
シマノ105 10speed | 5.2mm | 2.0mm | 2.0mm |
なるほど、ウルフトゥースは歯の厚みが分厚いのと薄いのと交互に並んでいます。チェーンを良く見るとインナーリンクとアウターリンクで内側の隙間が異なりますよね。チェーンをつける際はそこのところご注意くださいね。
そして歯先が2ミリも深い(高い)ことによって、がっちりチェーンに突き刺さります。ちょっとやそっとの衝撃では外れないのはこの2つの工夫があるから。これであまりかっこいいとはいえない、チェーンガードをつける必要もありません。
それにしてもこれって、変速しないからこそ、できる業ですね。歯の厚みが交互に異なるので、歯数のバリエーションは必ず偶数になりますよ。
素材には航空機などに用いられる高強度アルミ合金7075-T651を使用し、高精度CNCによる削り出しによって成形されています。また表面にはアルマイト処理を施し耐久性を高める工夫が施されています。実際に現物を持ってみると、かなりごついつくりなのがわかります。
今シーズンの関西シクロクロス第1戦で早速使用しているライダーを発見。マスター1カテゴリーで表彰台の常連の方です。実際に使ってみてどうだったのか、聞いてみました。
決勝は問題なく走れましたが、試走で一回チェーン落ちました。100%落ちないとは言い切れません。 シングルなら、歯数は38t以上ですね。36tでは桂川(関西シクロクロス)などの直線で回し切ります。38tでもリヤ12tだと回し切るので、トップ11tのスプロケットが必要です。 私は、MTB用の32t-11tというスプロケットと、40tを組み合わせています。 これだと、ケイデンス120ぐらいまで頑張ったら、40km/hほど出るので、私の足では回し切ることはないでしょう。 とゆーことで、誰でも安易に手を出せる製品ではありません。 誤ってインナーギヤとして購入する人もいそうで怖いですね。 ご注意下さい。 ちなみに、38t/12-30t は、平坦のゴールスプリントで足りないので、お勧めしません。 |
---|
ということだったのですが、2013/11/24に訂正します。
チェーンが落ちたときは、シマノ10sスプロケットに、シマノ9sチェーンを組み合わせていました。その後の野辺山シクロクロス、関西シクロクロス第3戦マキノではシマノ10sチェーンに交換したところ、試走およびレースで一度もチェーンが外れることがありませんでした。 ですので、コレマジオススメです。レースフェイスからも同様に厚歯薄歯を組み合わせたスプロケットが発売されましたが、PCD110のシクロクロスバイクに使えるものはいまだこのウルフトゥースのみです。マキノのコースでも、フロント40tのリア11tで問題無しでした。 |
---|
さて、これを見た貴方は、どう感じますか?
最新情報をお届けします
Twitter でWORLDCYCLE_BLOGをフォローしよう!
Follow @WORLDCYCLE_BLOG