世界中のサイクリストのあこがれ、しまなみ海道。私自身はこれまで5回走りに行ったことがあるのですが、どれもいわゆるメインルート。コンビニや道の駅が沢山あって、何不自由なく走れるのではありますが、何度か走ると逆にもっと島の日常の風景の中を、のんびりと、のんびりと走りたくなってきます。どこでも同じコンビニのある風景は、ちょっと嫌気すらあります。
今回1泊2日の一人旅(2015/2/27~28)は、そんなメインルートを出来るだけ走らずに、しまなみ海道を往復してきました。
初日 福山~今治 http://yahoo.jp/mcFyDi
しまなみ海道を走るのであれば、JR尾道駅かJR今治駅からスタートするのが一般的です。ですが今回は尾道の東側にある福山駅からスタートしました。理由は、「鞆の浦」に行ってみたかったから。
鞆の浦といえば、宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」の舞台で超有名ですが、最近は、TVドラマ「流星ワゴン」の舞台としても有名です。大阪の自宅から始発に乗って、福山駅で準備完了となったのは朝7時40分。自転車通学の高校生達に混じって、スタート。輪行様子はこちらから。
鞆の浦の灯台でしばしぼぉ~っとしてから、尾道に向かって走ります。凪スピードのアンデックスさんに立ち寄り、尾道駅に到着。鞆の浦の周辺5キロくらい以外は、ごく普通の国道でした。
尾道からしまなみ海道最初の向島に渡るには3本の渡船があります。いつも一番駅に近い「尾道駅前渡船」を利用していましたが、今回は「尾道渡船」に乗ってみました。大人100円、自転車10円です。尾道駅前渡船と違うのは、車も乗れるところ。
メインルートは向島の西側(7.4km)を走るのですが、今回は東側(11.5km)を選択。多少のアップダウンがありますが、センターラインも無い海沿いの軽快なルートです。浜辺にはのんびりと小船が浮かんでいます。聞けば、地元の方のマイカーならぬマイシップらしいです。のどかです、実にのどかです。
因島大橋をわたると、橋の袂のはっさく屋さんのはっさく大福。これはいくらお約束だったとしても外せません。これで1個140円なんて、都会ではありえません。帰りにお土産を受け取るつもりなので、予約も済ませました。
因島もメインルートは西側(9.4km)ですが、東側(21.2km)を選択します。こっちはわりとアップダウンあるコース。いままで見たことの無かった東側からの因島大橋の絶景を望むことが出来ました。
メインルートと違って、橋のかかっていない島に渡るための渡船の乗り場が沢山あります。これは弓削島に渡るための家老渡港。このあたりの小さな渡船は大抵が無人駅です。切符売り場もありませんので、時間になったらさっさと乗船しましょう。
フェリー乗り場には閉校記念式典のポスターが掲げてありました。ちょっとセンチな気分。メインルートではあまり見かけませんが、廃校になってしまった建物を4箇所ほど見かけました。
因島といえば、はっさく大福の他にもお好み焼きが有名。当然広島焼きです。しまなみ島走BOOKで紹介されていた、大出商店さんへ。下の画像のパンフレットは5年前に地元の方が作った因島のお好み屋さんを網羅したガイドブックです。全て実食されたレポートが書かれています。お昼時ということもあってか、既にお客さんは6名でほぼ満席。丁度そのうち二人が食べ終わったところだったので、席に着くことが出来ました。他のお客さんはほぼ造船所で働く方ですね。とても活気があります。
←左の画像はクリックで拡大するといんおこマップが見られます。(非売品)
これがそのお好み焼き。中に入れる麺を”うどん”か”そば”かを選ぶシステムのようです。うどん入りお好み焼きは初めてだったので、うどんを選択。もちろん目の前で焼いてくれます。焼きうどんお好み焼きという感じで、とてもおいしかったです。
生口島もメインルートの西側(11.9km)ではなく、東側(11.2km)を走行。西側にはドルチェのジェラートアイスや、瀬戸田の商店街など人気スポットが沢山ありますが、東側はとってものんびり平坦ルート。地元の方に聞くと、2年前に中学校が廃校になってからコンビニもなくなり、人通りもぐっと減ってより寂しくなってしまったとの事でした。でもそんな感じが、島感満載でいいんです。
大三島に入ると、多々羅しまなみ公園に新しく出来た「サイクリストの聖地」なるものに行ってみました。なるほど、ピカピカのオブジェ兼サイクルスタンドが迎えてくれます。ここでの記念撮影は外せません。
大三島は東側のメインルート(5km)をおとなしく走行し、伯方島は短いメインルート(3.3km)ではなく、ぐるっと東側(16.5km)を回ります。ここもわりとアップダウンの多いコースですが、アップがあるということは景色が素晴らしいということですね。
最後の大島では、行ってみたかったカレイ山のカレイ展望台を目指します。山の北側から登るコースと、東側から登るコースがありますが、何となく北側を選択。ガソリンスタンドを左折するのですが、全く標識が無いので要注意です。登り始めるとかなりタフな坂でくじけそうになるので要注意。山全体が採石場なので、ダンプも時々走ります。小石や砂も浮いています。時速5~6kmになりながら、20分ちょっとでようやく山頂へ。
そして、ついに登頂、遠見茶屋。冬季休業中。ガ~ん!
ですがこんな素晴らしい景色を独り占めすることが出来ました。こちら側は鵜島と能登島城跡のある能島を望むことが出来ます。昨年亀老山展望台から来島海峡に沈む夕日を眺めましたが、甲乙付けられませんね。
反対側には大島大橋。ぼぉ~っとたそがれていたいところですが、寒いので早々に退散。下りの途中の自動販売機でのんだホットコーヒー、温まりました。
大島の東側の細い海岸線を走って、夕方5時過ぎに本日のお宿「しまなみゲストハウス シクロの家」に到着。昨年オープンしたばかりのこのゲストハウスは、なんと「しまなみ島走BOOK」の著者、宇都宮一成さんがオーナーなんです。普通に予約していたのですが、宇都宮さんは予約リストからワールドサイクルの岩田であることを見抜かれて、当番でも無いのにわざわざ会いにきてくれました。
チェックインをすると、まずはここで暖かいホットレモンがいただけます。男女別相部屋で、1泊2,500円から。お風呂はありませんがシャワーがあります。
お風呂屋さんまでは歩いて2分ほど。今治焼き鳥を食べて、疲れを落としました。
2日目 今治から尾道 http://yahoo.jp/ZIerWf
昨日多々羅しまなみ公園にあったオブジェが、今年の2月に今治駅前にも出来たということで、朝からマイバイクを担いでもらいました。でも担ぐなら右の肩じゃない?8時前にスタートして、来島海峡大橋を登ります。造船所の迫力が半端ありません。
昨日行かなかった大島の南東ルートに挑戦。人っ子一人いません。ほとんど平地の無いハードな山岳コースを楽しみます。車の姿はほぼありません。夕方走るとちょっと怖いかもしれませんので、昨日行かなくって正解でした。明るいうちが良いですね。
メインルート以外でも、このように案内板が充実していますので、迷わず走れます。 ところどころブルーラインもペイントされていますし。
ブルーライン以外にも、この「へんろ道」というのも重要な道標です。
大島恐るべし。距離は大してありませんが、こんな10%前後の峠を5箇所ほど越えました。橋に登るための廊下も坂道ですが、平均勾配3%なので、この坂はぐっと脚にきます。
大三島は最短ルートを通り越して、北半分一周としました。まずは大山祇神社の前のお食事所「大漁」さんに到着。このとき11時ちょっと前でしたが、既に順番待ちの名前は100人以上!
このボードは9時半に置かれて、11時半オープンらしいです。何人入れるのかわかりませんが、100人以上では何回転目になるか見当も付きません。今回はさっさとあきらめます。
このまま素通りするのもなんですので何か面白いものはないかと見渡すと、隣のお土産屋さんに「みかんジュース150円」とあるのを発見。アイスとホットがあったので、迷わずホットを注文。しばらく待つと、こんなコーヒーカップに入って出てきました。
お店の方に伺うと、「ホットみかんジュースは当店だけ」じゃなかろうかと言うことでした。電子レンジで暖めるのではなく、手鍋で暖めるからおいしいんだそうです。あ~温まりました。
大三島の最北端からは、かつて毒ガスが作られ地図から消された島「大久野島」が見えてきました。近年ウサギが大繁殖しているらしく、ウサギ見学の観光客で大賑わいらしいですよ。この日も大久野島行きのフェリー乗り場はにぎわっていました。
多々羅大橋を渡って生口島に下りたところで、こんなおばちゃん達を発見。
ちょうどおなか減ってたんです。みかん超おいし~。売っているのって味よりも見た目が優先されることが多いので、こういう地元の人が食べるようなみかんが一番おいしいんですよね。
昨日に続いて、生口島は東側を走行。向かい風のおかげで時速15~16キロになることもありましたが、なんとか目当てのバス食堂「福ちゃん」に到着。ここも「しまなみ島走BOOK」で紹介されていたお店です。
バスを改装したお好み屋さんで、おばちゃんが一人で切り盛りされています。実はもう年も年と言うことで、飲食店営業許可が切れる今年の2月で閉店するつもりだったそうです。でも娘さんが、「せっかく本に載ったことで、自転車の人が食べにきてくれるんだから、体が続く限り続けたら?」と後押ししてくれたため、飲食店営業許可を更新したんだそうです。いぃ~話を聞かせてもらいました。
昨日食べたお好み焼きもおいしかったですが、福ちゃんのお好み焼きもふわふわで美味。お土産にみかんをバックパック一杯になるまでいただきました。
因島の最短ルートを経由し、最後の向島。ここも「しまなみ島走BOOK」で紹介されていた、岩子島(いわしじま)を目指します。しまなみ海道のメインルート上にある6島以外で唯一橋で渡れる島です。
映画のロケ地としても有名なこの島の山頂付近には、この手彫り感満載のトンネルが。これが2箇所もあります。
実はこのトンネルまではGoogleストリートビューでも見ることが出来ますが、この先にある厳島神社は実際に行かないと見ることが出来ません。それがコレ。
満潮の時はもっと凄い景色かもしれませんが、この朱塗りの寂れた大鳥居と、浜辺で潮に侵食されつつも倒れない燈篭。荒れた本殿には赤穂浪士四十七士。映画「男たちの大和/YAMATO」のロケ地でもあります。
そのまま岩子島の北側ギリギリの農道を走って、遂に最後、尾道駅に向かうために、福本渡船に乗船。
これで尾道~向島間の3渡船を制覇、およびしまなみ海道の6島+1島をほぼ一周できました。いゃ~、しまなみ海道にとってメインルートはまさに銀座。島らしいのどかぁ~な風景の中をのんびり走りたいのでしたら、メインルートは外してみてはいかがでしょうか? というか、それがいいって。
尾道駅前の自転車組み立て場で輪行して、後は一路大阪へ。天気にも恵またのは何といっても最高でしたが、参考にした「しまなみ島走BOOK」の決め細やかさには改めて脱帽です。それに比べると大手旅行会社が作る広告だらけのガイドマップなんて、もうダメダメもいいところですね。自ら現地に足を運んで厳選したポイントがぎっちり詰まっていますので、他に参考にするものなどほとんどありません。
今回使用した輪行袋は、「R250 軽量縦型輪行袋」 真っ黒で地味~な輪行袋じゃなくって、明るい色’3色)の輪行袋です。ただし底の部分は汚れやすいので、黒い布を使用しているのは、デザイナーのこだわりです。しわになりにくいので、収納状態でのドレープも綺麗です。
ワールドサイクルでは9月末にしまなみ海道ツアーを計画しております。是非一緒にしまなみ海道のメインルート以外を走りましょう。
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