例のポンプとして自転車専門店以外のところで評判の、ランドキャストの携帯ポンプ。何の変哲もない見た目と、20年以上昔からある「押しても引いても空気が入る」というスペックは、自転車歴が長ければ長いほど全く引っかかることなく、スルーしてしまいがち。これが今までの携帯ポンプをすべて化石にしてしまうくらい、よく入るんです。
携帯ポンプって進化してるか?
自分の携帯ポンプ歴はスポーツバイク歴と同じ28年。昔の携帯ポンプといえば、長くてフレームのトップチューブの下に突っ張り棒のように引っかけていました(今でもごくわずか残っていますが)。ツーリング車はシートステーに直付けされたフックに引っかけていましたね(これはほぼ絶滅)。ポンプの構造って、ようするに空気銃ですから、太くて長ければ1回のポンピングで吐き出す空気の量は多くなります。それだけだと高圧になったときに硬くて押し込めなくなるので、1回のポンピングで入る空気の量を調整しています。他には口金をホース式にしたり、メーターをつけたり、シリンダーを2本にしたり、ライトをつけたり、CO2ボンベも使えるようにしたり、フロアポンプのように立てて押し込めるようなものもできました。
より小型にもなりました。これが曲者です。自転車乗りは小型で軽いものに引き寄せられる性質をよく利用されます。メーカースペックには、楽々7気圧入るというようなことが書いてありますが、それって握力と腕力が無尽蔵だったらという話。長さ20センチにも満たない携帯ポンプでロードバイクのタイヤに7気圧入れるなんて、どれだけしんどいか。せいぜい5気圧か6気圧くらいで腕がパンパンになって諦めるのが関の山。女性だったら、4気圧くらいまでじゃなあいでしょうか。何が不透明かって、どのメーカーも1回のポンピングにかかる圧力を計測していないし、公表もしていないところです。
さぁ、例のポンプの実力を可視化してみましょうか。ガチンコ対決です。
選んだのは、ランドキャストと同じ、押しても引いても空気が入る携帯ポンプ。トピークのローディDAは長さも価格もランドショットとほぼ同じなので、平等な比較ができますね。最も空気が入ると思われたのが、トピークのマウンテンTT。価格は1.5倍、重量は2倍、ツチノコみたいに太いボディですが、長さはちょっと長いだけです。仕組みはそれぞれこうなっています。
見た目はどうでしょうか?
空気圧の計測に使用したのは、これ
デジタル表示なので、ピピっと一瞬で空気圧が表示されます。数値も一目瞭然。
実際に空気を入れてみましょう。
タイヤの太さは700x23cです。一旦空気を抜いてぺちゃんこにしてから、ポンピングスタート。回数の区切りが異なるのは、腕パンパンになって休憩したところです。
まずトピークのマウンテンTT。他の2つがソーセージなら、これはフランクフルトか、ってくらい太さです。これだけ太けりゃいかにも入りそうです。実際一回のポンピングでぐいぐい空気が入っていくのがわかります。30回目くらいから硬くなりだして、50回目でしんどくなって休憩。100回目まで一気に入れようと思いましたが、硬くて腕パンパン。90回で計測してみると、7.37barも入っていました。回数だけみると凄いのですが、腕パンパンです。
続いてトピークローディDA。50回目くらいから少し硬くなりましたが、100回まではノンストップ。3.6barとよく入っています。200回目まで一気に入れようと思いましたが、硬い。150回目でしんどくて休憩。4.82bar。この後も硬い、腕パンパン。特に最後の一押しが硬い。10回くらい入れるのに、30秒くらいかかります。200回目でギブアップ。それでも6.03bar入りました。7気圧なんて無理….. これが一番しんどかった…..
最後にランドキャスト。100回目で計測のためにいったん外しましたが、ほとんど硬くなりません。100回越えるとほんの僅か硬くなりますが、それでも全然楽にポンピング。結局300回で7.3barも入っていました。ランドキャストの300回目の硬さがどれくらいかというと、ローディDAの50回目くらい、マウンテンTTの20回目くらいと同じくらいかな。不思議なほど高圧になっても硬くなりません。WHY? マウンテンTTもローディDAも、最後のほうはカッチカチです。
お助けホースは必要か?
携帯ポンプをより便利に使おうと、このようなホースを組み合わせるという方法も秘かに人気です。ランドキャストの場合、あまりにも押し込む力が少なく済みますので、とりたててお助けチューブを使わなくても十分空気を入れられるのですが、実際にお助けチューブを使うと、やっぱりあった方が楽ですね。
保管方法は
昔からの流れで、ほとんどの携帯ポンプにはボトルケージ台座に取り付けられるホルダーがついています。それを使ってもいいとは思いますが、おすすめはツールケースなどに入れて常備する方法です。汚れることもありませんし、ピストンのパッキンの痛みも最小限にすることができます。外に付けたまま雨天走行なんて、携帯ポンプをただ痛めつけているだけだと思います。R250のツールケースにピッタリ収納できますので、なるべく痛まないように持ち運んであげてください。
どうです、例のポンプの凄さ、伝わりましたか? 正直悔しいのですが、今までの携帯ポンプは一旦何だったの?って感じです。パナレーサーもトピークもレザインもクランクブラザーズも、みんなかないません。
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