ZIPP フックレスリムの安全性と適合タイヤについて
2019年版のETRTOではロードバイク用のフックレスリムが公式に承認されており、そのことからかGIANTのCADEXやENVEなどロードバイク用のホイールにもフックレスリムを採用するブランドが増えてきましたね。
注目されている方も多いのではないでしょうか。
今回は、ZIPPからのフックレスについての情報をご紹介させていただきます。
2021年モデルから303 Firecrest Tubeless DiscBrakeと、303 S Tubeless DiscBrakeに採用されたフックレスリム。
フックレスにすると何が良くなるのか?
- 路面抵抗の低減
- コーナリンググリップの向上
- 振動吸収性の向上
- 空力効率の改善
- 軽量化
- 強度UP
- 低価格
など、数多くのメリットが上げられます。
構造上、リムが製造しやすくて尚且つ装着したタイヤが理想的な形状を保ちやすいといったところからなのでしょう。
しかしいくらメリットを聞いても、フックレスリムを使ったことがない方は、タイヤが走行中に外れるのではないか?という心配や不安から購入を躊躇されているかもしれません。
余談ですが、CORIMAが2020年4月に発表したMCC DxTLRは、発売が延期になりましたね。これは空気圧に関するところが要因のようです。
ZIPPではどのくらい空気を入れたらタイヤがリムから外れるかをテストしています。
次の画像はZIPP 303 S Tubeless Discに様々なメーカーのチューブレスタイヤで、バーストするまでの空気圧をまとめたものです。
結果としては殆どのタイヤが、13~14bar (190psi~200psi)までタイヤを保持し続けました。
最も早くバーストしてしまったタイヤでさえ、推奨されている最大空気圧(5bar/72.5psi)の倍まで耐えています。
前世代の303 firecrest Tubeless Disc(内幅21mm/フック有り)と新型303 Firecrest tubeless Disc(内幅25mm/フックレス)でも、ほぼ同じ空気圧でタイヤが外れることが確認されています。
つまり、フックの有無はタイヤがリムから外れてしまうこととは関係がないとのこと。
チューブレスタイヤのビードはクリンチャータイヤのビードと比べて伸びが少ないため、推奨空気圧を守っていればリム上にしっかりと保持され続けるという見解。
ではなぜZIPPは実際より遥かに低い72.5psiを、最大推奨空気圧にしているか?
安全のためではなくパフォーマンス向上のためとのこと。
低い空気圧は路面抵抗の向上やグリップ力、振動吸収性に大きな影響を与えます。
不必要に高圧にするとタイヤは少しの段差でも路面に弾かれてトラクションを低下させ、振動損失を生み出します。
重要なのは各個人の体重や路面状況による推奨空気圧
axs.sram.comでは体重やバイク重量、路面状態、タイヤ幅を入力することで、前後タイヤの推奨値を算出することが出来ます。
興味のある方は検索してみてください。
タイヤの適合性について
303Firecrest ではビード直径622mmの28c、303 Sでは25c以上のタイヤを推奨しています。(最大は55c)ZIPPはこの条件に適合するタイヤの使用を基本的に認めていますが、タイヤメーカーによってはフックレスリムへの使用を禁止しています。
ZIPPの基準でタイヤメーカーの基準を覆すことは出来ないので、タイヤメーカーが承認している製品をオススメします。
ZIPPはフックレスの導入にあたり、タイヤメーカーにホイールを送ってその適合性を確認してもらっているそうで、
現時点(2020年11月6日)でZIPPフックレスリムを承認しているタイヤメーカーは以下の5ブランド
-
- Schwalbe
- Pirelli
- Good Year
- Rene Herse
- Panaracer
フックレスへの使用を認めていないのがContinentalのみ
VittoriaやMichelinなどその他のブランドに関しては現時点では未回答/検証中となっているそうです。
ZIPPは現在、他のホイールメーカーやタイヤメーカーと共にISO規格の議論に積極的に参加しており、ロード用チューブレスシステムの新しい基準を作ることを推進しているそうです。
リムメーカー、タイヤメーカーの両者がETRTO及びISOに準拠すれば、どのブランドの組み合わせでも使用できるようになりますね。
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