世の中には「単一の機能を持つアイテム」と、「複数の機能を持つアイテム」があります。
鉛筆と消しゴムを組み合わせたとか、シャープペンとボールペンを組み合わせたなんてものは後者の成功例ですが、やりすぎるとどっちつかずで結局全部使いにくくなってしまうことがあります。例えば携帯工具。数種類のアーレンキーとドライバーという組み合わせが主流ですが、チェーン切りやタイヤレバー、ニップル回しやナイフ、スパナ、栓抜き、のこぎり、トルクレンチまでついてくると、結局どれも中途半端で使いにくくなってしまいます。携帯用と割り切ってしまえばそれでも良いのかもしれませんが、はたして一般の方が使いこなすことができるのかは、はなはだ疑問です。
今回ご紹介するのは、合体商品。それもこれまでなかった「タイヤレバー」と「炭酸ボンベの口金」の合体です。
まず見た目が美しくありませんか? ごてごて感が全くなく、とてもシンプルなシルエットです。合体させたというのは「足し算の発想」ですが、デザインには研ぎ澄まされた「引き算の発想」があるように思います。今風にいうと、「ミニマルデザイン」でしょう。
パーツは2つだけ。口金のついている長いタイヤレバーと、短いタイヤレバー。多くのタイヤレバーは3本セットで販売されており、収納時にばらばらにならないように合体するものが多いのですが、これも合体します。
その合体方法が美しい。ほかのメーカーでは本体にデザインした凹凸で合体させます。しかしこの合体が緩いものが多く、サドルバッグやツールポーチの中でばらばらになることも少なくありません。このタイヤレバーにも合体用の凹凸がありますが、シュッとしたテーパー状になっています。
この凹凸は上から抑え込んではめ合わせるのではなく、スライドしてはめ合わせます。スライド幅としてはおよそ1センチほど。するっと軽く押し込むだけで、しっかりと固定されます。ちょっとやそっとこすれたりいじられたくらいではびくともしません。
外すときは、口金側の短いレバーをクイっと上に持ち上げると、簡単に外れます。
タイヤレバーとしての使い勝手はどうでしょう。2本で大丈夫なのでしょうか?
スポークにひっかけるためのフックは片方にしかついていませんので、フック付きを一か所目に使用します。2か所目のタイヤレバーでタイヤビードをひっかけたら、そのままレバーを抜いて、3か所目に使用します。この使い方をすれば、タイヤレバーは2本で十分なんです。3本も必要ないのです。
口金を見てみましょう。こちらもとてもシンプルなデザインです。青いアルマイトが美しいですね。米式バルブと仏式バルブに使用できますが、切り替えなどは必要ありません。そのままで使用できます。
唯一わかりにくいのが、この「OPEN(反時計回り)」「CLOSE(時計回り)」という表示です。何がOPENでCLOSEなのかわからないかもしれませんね。使い方としましては、ここに炭酸ボンベを取り付けておきます。一気にこれ以上回せないというところまでねじ込んでください。最後までねじ込んだところから、少しだけOEPN(反時計回り)に回すと、炭酸ガスが一気にチューブに流れ込みます。
バルブの基礎知識です。仏式バルブには2種類のねじ山があります。ステムナットを取り付けるための細かいピッチと、先端部分にすこしだけある荒いピッチです。
※チューブラータイヤや一部のインナーチューブには、ステムナットと細かいピッチのねじ山が無いものがあります。
仏式バルブの場合、ボンベの口金をねじ込むのはバルブ先端の荒いピッチのほうです。実はこの取り付けで苦戦する人が多いのです。原因は、口金の中に「エア漏れ防止のゴムパッキン」が入っているため、押し込みながらねじ込まないと、ゴムパッキンに跳ね返されてしまってねじ山までとどかず、無限回転地獄に陥ります。
さらに、荒いピッチのねじって、正確にまっすぐ回していかないとねじ山がかかりにくいのです。ねじ込むときに斜めになっていたり、ゴムパッキンに跳ね返されていないか、注意しながら作業してください。
口金とバルブが最後までしっかりはまったら、ボンベを少し左に回してください。「OPEN(反時計回り)」の方向です。一瞬ですので、軍手など手を保護するものが無くても大丈夫。緩めるのはそれほど硬くないので、ボンベをぎゅっと握らなくても、指先だけで大丈夫ですよ。ただし不安な方は、軍手も使用してください。
1~2秒でカンカンに入りますので、音がしなくなったら、ボンベを時計回り「CLOSE(時計回り)」にして、栓をしてください。標準的な16gのボンベで、700x23cのタイヤがちょうど7気圧入ります。
ボンベを「CLOSE(時計回り)」に締めたら、ボンベごと口金をバルブから外してください。
ボンベ付き口金を外したら、口金の穴を人のいない方向に向けて、再度ボンベを「OPEN(反時計回り)」に回してください。少し中身が残っているので、ここでもう一度「シュツ」っといって、炭酸ガスが噴き出します。
数秒~数十秒すると、ボンベが冷え冷えになってきます。決して手でぐっと握っておかないように。夏場は首筋などに軽くあてると、冷たくて気持ちいいですよ。
携帯式ポンプの場合少なくとも100回以上、多いものだと1,000回近くポンピングしないと、再び走り出せるくらいの空気圧にはなりませんが、炭酸ボンベを使えばほんの一瞬です。携帯ポンプを購入しただけで、一度も使ったことのない方は多いと思います。是非一度0から空気を入れてみてください。まぁしんどいですから。そのしんどさを味わった人は、かならず次は炭酸ボンベを使ってみようと思うはずです。
ボンベはできれば一度練習しておくとよいでしょう。重要なのは絶対にチューブが噛んでいないこと。特にバルブ部分の噛みこみは2重3重にチェックしてください。ワールドサイクルのパンク修理講座なら、ボンベの使い方も実習できますよ。
合体した商品は使いにくいことが多々ありますが、これは例外です。タイヤレバーとしても、炭酸ボンベアダプターとしても使いやすいですよ。
GIYO GTC-02 タイヤレバー&Co2ボンベ(ボンベ1本付) 炭酸(CO2)ボンベ対応
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