R250から初の「横型輪行袋」が発売されました。重量195gの軽量タイプです。これまでは輪行するなら「縦型輪行袋一択」と思っていましたが、最近 “横型もアリ” だなと思うようになってきました。転機はディスクブレーキの普及でした。
ワールドサイクルでは2013年から輪行マイスター岩田康裕が輪行講座を開催しており、500名以上の方に受講していただきました。実演して見せるだけの講座ではなく、ちゃんと参加者の方に輪行してもらう実習型の講習です。皆さんがどこで苦労するのか、しっかり観察させていただいております。一昨年まではリムブレーキのロードバイクのみで開催していたのですが、そろそろディスクブレーキロードの参加者が増えてくるのではないかと思い、昨年の春にディスクブレーキロードを1台追加しました。
2022年5月時点の参加者的には、およそ3割前後の参加者が、ディスクブレーキロードをお持ちの方です。輪行講座はすべて縦型輪行袋を使用しているので、エンド金具は2種類用意しております。ディスクロード用スルーアクスルタイプのエンド金具は、オーストリッチから発売されておりますが、これまでお教えしてきた感じから、リムブレーキ用のエンド金具よりは少し難しい。理由は小さい部品が増えており、向きの指定もありますから。となると、エンド金具を使用しなくてもよい横型輪行袋もアリではないかと、昨年夏ごろから開発していたものが、ようやく今年の5月に入荷となりました。
では今後は、横型輪行袋だけでいいのか? とは単純に参りません。実際に何度も横型輪行袋で輪行をして考えました。
縦型輪行袋と横型輪行袋、メリットとデメリットは?
まずはそれぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。
縦型輪行袋のメリット
- 床に置いたときの専有面積が小さい。クロスシート(横座席)の幅およそ430~460mmにピッタリと収まる。
横型輪行袋のメリット
- エンド金具が不要。エンド金具の取り付け時間分早く収納できる。
- 大きめのサドルバッグや、リアキャリアをつけたままでも、収納可能。
- ハンドルを曲げずに収納すれば、かなり安定して自立する。
- フレームとホイールを結束しなくても収納できる横型輪行袋もあります。→こちら
縦型輪行袋のデメリット
- サドル・エンド金具・前後輪の4点がしっかり地面に接地するように梱包しないと、不安定。
- 倒れやすい(風で倒れることも)。
- ちゃんとエンド金具を取り付けたつもりでも、ずれやすい。
- 大きめのサドルバッグは外さないと収納できない。
- 身長が155cm以下くらいの方だと、階段などの段差でぶつけやすい。(横型に担ぐことでも対処可能)
- スルーアクスルディスク用エンド金具の取り付けが、リムブレーキ用エンド金具より手数が多い。
横型輪行袋のデメリット
- 床に置いたときの専有面積が大きい。クロスシート(横座席)の幅およそ430~460mmから通路にはみ出る。
特に新幹線の場合、2列シートから通路にはみ出る。3列シートの後ろに置くとはみ出さないが、他の大型荷物が全く置けない。
新幹線のグリーン席(2列+2列)や、N700系のみずほ号、さくら号の指定席は2列+2列の座席の場合は、ギリギリはみ出さない程度。 - 混んでいる駅で担いで歩く時、縦型より前後に長い分、ぶつかりやすい。より慎重に。
- 車内で固定しようにも、低くて手すりと高さが合わない。別途ベルト等が必要。
- ハンドルを曲げて収納する横型輪行袋の場合、自立するように収納するのはかなり難易度が高い。
- 担いだ時にわきの下にチェーンとフロントギアがくるため、ウェアーが汚れてしまうことがある。
- フレームとホイールを結束しなくても収納できる横型輪行袋の場合、袋の強度が必要になるため、生地が丈夫で分厚くなり、重量と体積が大きくなる。
結局どっちがおすすめ?
それぞれのメリットとデメリットを総合的に考えると、次のような使い分けがベストと思われます。
こういう時は縦型がオススメ
- 新幹線や特急電車をメインに輪行する場合。
こういう時は横型がオススメ
- 近場の輪行。特急料金のかからない電車。
- 安心できる駐輪場が無いホテル等に宿泊するとき。輪行袋に入れると追加料金なしで自転車を部屋に持ち込めることが多い。
- フェリー輪行。長距離フェリーの場合、輪行すれば無料になることが多い。
(例)オレンジフェリーの場合、そのまま乗船すれば+1700円(片道)、輪行袋に入れれば無料。 - 万が一のリタイアに備えての保険として。
とはいえ単純には割り切れないと思います。一度のサイクリングで、新幹線も普通電車もフェリーもホテルも使うことは普通にあると思います。どこの輪行を重視するかで、輪行袋をお選びください。
万能なのは、やっぱり縦型です。リムでもディスクでも、エンド金具の取り扱い方をマスターしましょう。
動画で比べて見ましょう。
輪行マイスターが、同じ条件でリムブレーキロードを「縦型輪行袋」「横型輪行袋」に収納して、組み立ててみました。さて、作業時間はどれくらいでしょうか?
上級者テクニック
- ハンドルを曲げずに入れられる横型輪行袋の場合、ハンドルを下にして縦型にしておくことができます。ただし、ハンドルを固定するベルトを併用した方が、安定します。(結局荷物が増える。)それでも横のままよりは倒れやすいので、持ち主が常時支え続けてください。丁度よい高さに手すりがあれば、別途用意したストラップで厳重に固定することも可能です。
R250 ハンドルロック 輪行ベルト - フレームへの傷が気になる場合、輪行袋とは別に、ホイールバッグを用意して、2個持ちにする方法もあります。その場合輪行袋は縦型でも横型でもどちらでも構いません。ホイールバッグは、1本用と2本用がありますが、2本用の方が荷物が減るので、おすすめです。
バイシクルクラブ2022年9月号
自転車専門誌「バイシクルクラブ」でも、輪行マイスターが同じ内容の事を監修した記事が掲載されております。
輪行マイスターの輪行の歴史は、こんな感じ。
- 学生時代
ランドナーのフォーク抜き輪行 前後キャリア付き
マウンテンバイクツーリング(リヤキャリア付き)での横型輪行袋(マッキンレー製) - 自転車屋時代(前半)
横型輪行袋 外掛けストラップ(POCHITT みどり製作所OEM製) - 自転車屋時代(後半~)
縦型輪行袋(オーストリッチ R250)
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