光の明るさを表す単位は3つあります。
自転車用のライトにおいても、その3つの規格が乱立しており、「結局どれが明るいの?」というご質問に明確に答えることって、とても難しいですね。
中心部分が明るいライト、周辺まで明るいライト、中心と周辺の明るさの境目がくっきりしているライト、グラデーションのようにジワ~っと周辺になるについて暗くなるライト、対向車からまぶしくないように上側の光をカットしているライト、実にさまざまです。
まずは基本、カタログから明るさを判断するための、3つの明るさの単位をご紹介します。
- ルーメン(光束・こうそく)・・・・・「昼光」を意味するラテン語 全体の光の強さ
- カンデラ(光度・こうど)・・・・・「ろうそく(キャンドル)」を意味するラテン語 ある方向への光の強さ
- ルクス(照度・しょうど)・・・・・「光」を意味するラテン語 照らされた場所の明るさ
例えば、
定価(税抜) | ルーメン | カンデラ | 使用時間(ハイ) | 重量(本体+充電池) | |
---|---|---|---|---|---|
HL-EL540RC | 8000円 | 170 | 4000 | 5時間 | 227g |
HL-EL461RC(Volt400) | 9180円 | 400 | 4500 | 3時間 | 120g |
カンデラ数はほぼ同じですが、EL-EL461のほうがルーメン値が倍近くありますね。つまり、中心部の明るさはほぼ同じだけど、EL461のほうが周辺部を含めるとより明るいというのが、わかります。
EL461の方が最新モデルなので、性能的にEL540を上回っているのは仕方がありませんね。EL540が勝っているとすれば、バッテリーの持ちくらいですね。
最近ではルーメン表記のメーカーが増えてきております。キャットアイでも昨年くらいまではカンデラ表記でしたが、今年(2013年)の新作からルーメン表記になっています。理由は海外製品がルーメン表記が多く、比較しにくいという声が多かったからだそうです。
ここでの問題は、全てのメーカーがルーメンとカンデラの両方をスペックとして掲載していないというところです。キャットアイの場合は、カタログに記載されていなくても、直接問い合わせる、答えてもらえます。
いずれの単位にしても、「明るけりゃいいのか? 否」 なのですよ、車や自転車のライトの場合は。何故って、「対向車から見てまぶしすぎると、逆に事故の元」 となるからです。
明るくっても、対向車からはまぶしくないライト、それが理想ですよね。そんなライトが実は既にあるのです。
それまではライトの光の向きをコントロールするために、レンズにカットすることで対応しておりましたが、10年ほど前から、「マルチリフレクター」 というものが採用され始めました。
要するに、ライトを前に向けて照らすのではなく、いったん後ろに向けて、角度を調整した反射板に反射させるというものです。
この技術を採用することで、まぶしい上への光を抑えることができるようになりました。もともとは車のライト用に開発された技術ですが、数年前より自転車用ライトにも採用されております。
まずは、キャットアイ。キャットアイの場合は、ROLテクノロジーと自社でネーミングしております。
キャットアイのROLテクノロジー
- キャットアイ HL-EL540RC エコノムフォース 充電池モデル ヘッドライト(取り扱い終了)
- キャットアイ HL-EL540 エコノムフォース 乾電池モデル ヘッドライト(取り扱い終了)
- キャットアイ HL-EL340RC エコノム 充電池モデル ヘッドライト(取り扱い終了)
- キャットアイ HL-EL340 エコノム 乾電池モデル ヘッドライト(取り扱い終了)
キャットアイからこの技術を採用した「HL-EL610」 というモデルが発売されたとき、私は今後全てのライトはこうなるべきだと思いました。ですが実際はそうならず、丸い配光のライトも開発されております。その理由のひとつが、「中心部だけ明るいより、周辺部も明るいほうが良い」という要望によるものだと聞いております。
デメリットは、上下が決まっているため、必ずハンドルの上につけなければいけません。ハンドルの上にライトが際立つのはクールではないからといって、ハンドルの下側につけることはできません。
キャットアイの最新モデルの「ボルト」シリーズにおいて、このROLテクノロジーは採用されておりません。その代わり、中心部だけではなく、周辺部にも明るいライトとなっております。
ちなみに、型番に「G」が付いているモデルは、ドイツ規格に適合しているモデルとなります。ドイツでは対向車からまぶしいライトは自転車用ライトとは認められていないのです。ドイツ版キャットアイのホームページを見ると、日本とは型番が違いますね。
「G」が入っていないライトは、アクセサリー扱いとなります。また、ドイツでは点滅ライトは認められておりませんので、ドイツに輸出するモデルは点滅しないようになっているのです。(豆知識)
キャットアイのほかにも、マルチリフレクターを採用した自転車用ライトを発売しているメーカーがあります。
IPFのマルチリフレクター+非球面レンズ
IPFはもともと車用のライトを造っているメーカーですから、マルチリフレクターはお手の物ですね。
つづいて、
ジェントスのAXビームリフレクター
ジェントスはデスク用のライトやハンディライトを造っているメーカーです。マルチリフレクターを採用し、対向車にまぶしくないように配光がコントロールされております。
それにしても最近の高価格帯のライト、激しく明るいです。明るさ競争になっているため、対向車にまぶしくないような配慮はされておりません。一般道を走行する場合は、ロービームにして光を抑えるなどしてください。
また、取り付け角度にもご注意ください。うっかり上向きにしてしまうと、逆に事故の元にもなりかねません。
さらに、対向車にとってまぶしいのはもちろん、複数で走っている場合も注意が必要です。前のライダーが後方確認と振り向いたときに、激しく明るいライトは危険です。至近距離で目をやられてしまいます。
比較的明るい幹線道路のみを走行するのであれば、こういった激しく明るい高級ライトはあまりお勧めいたしません。夜間の単独走行では効果を発揮しますが、その明るさが逆に凶器にもなることを、あらかじめご理解のうえ、十分注意してお使いくださいね。
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