数年前からプロのロード選手のヘルメットデザインが変化しつつあるの、ご存知でした?
ちょっと前までは、いかにも風通しが良いように前面の穴が大きくて、流線形なグラフィックで、重量が200gを下回るようような軽量のものが流行っていたのですが、なにやら最近丸っこくなっています。
そういう丸っこいヘルメットを総称して、
ロードエアロヘルメット
とか、
クローズドエアロヘルメット
なんて呼んだりします。すでにほぼすべてのメジャーなヘルメットブランドから、発売されています。いくつかご紹介します。
カスクのプロトン ツールドフランス3勝目を挙げたチームスカイのクリス・フルーム選手もかぶっているので、露出度高めですよね。ベンチレーションはスライド式で開閉できます。
メットのマンタ 重量わずか206gという、驚異の軽さ。フィッティングシステムのベルトが頭1周していたり、汗止めパッドがついていたり、かなり気になるモデルです。
ベルのスタープロ カスク同様ベンチレーションはスライド式。マグネット式で着脱できるアイウェア(シールド)が特徴。
ポックのオクタル 悪い意味でつかわれることの多い「キノコ型」に真っ向勝負。堂々と「キノコスタイル」ですが、直線的なベンチレーションホールは逆に新鮮。
などなど。ワールドサイクルでは取り扱いが無いのでご紹介しませんが、ほかにも「スぺシャライズドのイヴェード」や「ボントレガーのバリスタ」、「ジロのエアアタック」や、新城幸也選手がランプレメリダチームでかぶっている「スオーミーのガンウィンド」もロードエアロヘルメットです。
今回ご紹介するのは、zerorh+(ゼロアールエイチプラス)の、ゼットアルファ。
ゼロアールエイチプラスのゼットアルファには2種類ありまして、ノーマルタイプと、転倒時に脳に伝わる回転エネルギーを減少させる機能のついた「MIPS」が装着されたものです。そのMIPSモデルを実際にかぶってみました。
経験上どのメーカーでもMサイズを選べば間違いない私は、XS/M(54-58cm)サイズをかぶってみました。OGKKABUTOやカーマーのようなバリバリのアジアンフィットモデルに比べると、横幅は細めで、浅めのかぶり心地。かといってものすごく細いというわけではないので、まずまずのフィット感。ヘルメットのおでこ側がとんがっているので、おでことヘルメットの間に指1本分ほどの隙間ができました。
後頭部のアジャスターです。3万円クラスのヘルメットですから、当然よい動きです。低価格モデルだと1ノッチの間隔がおおざっぱですが、さすがに細かくアジャストできます。アジャスターの高さも3段階で調整可能です。
後ろ側に貼られた「MIPS(ミップス)」のステッカー。MIPSは「MULTI-DIRECTIONAL IMPACT PROTECTION SYSTEM
(多方向衝撃保護システム)」の頭文字をとったものです。
MIPSとはごくごく簡単に説明しますと、
- ヘルメットに衝撃を受けたとき、外部のシェルと内部のライナーが独立して動くことで、衝撃を緩和するというものです。
内部の黄色いのがライナーです。全周にわたって張り巡らされています。
ライナーとシェルはフローティング構造です。「エラストメリック付属システム」といわれるシリコン製のパーツ4か所で、緩やかに接続されています。
ライナーがぐにょぐにょ動くのではないかと思いましたが、実際にかぶってみると違和感はありません。普通のかぶり心地です。ただし重量増は免れません。軽い商品の時は「軽さは正義だ」と言ったり、軽くない商品の時は「実際に使ってみるとその重さを感じさせない」などと言ったりするのが売る側の定石ではありますが、XS-Mサイズで300g近い重量は、やはり重い。
zerorh以外にも、GIROやBELL、TREK、SCOTTもMIPSを採用したモデルを販売しております。中でもGIROの説明と、動画がわかりやすいので、ご紹介いたします。
ミップスは一歩進んだセーフティーテクノロジーです。
もう一つの特徴が、このエアロシールド。お侍さんの月代(さかやき)のように見えなくもありませんが、着脱式です。
2か所の爪でしっかりとはまっていますので、外すときはいったんヘルメットを外して、内側からカバーを押してやると外れます。はめるときは、上からパチンと押し込みます。
さて、エアロというからには、効果はどうなのでしょうか。エアロという点では、実は競輪選手が使用する通称「ドカヘル」が最も空力が良いといわれています。穴という段差がないので、空気が乱れずきれいに流れるからと言われています。もちろん、暑いので長距離は死にますよ。また、後頭部がシュッとしたいかにもなエアロヘルメットは、最近あまり流行ではありません。下を向いてしまったり、横を向いてしまうと、逆に一空気抵抗となるからです。室内のトラック競技では有効ですが、屋外のロードのタイムトライアル競技では、使用率は減ってきています。
エアロロードヘルメットの前側の穴は少ないのですが、後ろ側はかなり大きな穴が開いています。いくら前側の穴が大きく空気をたくさん取り込んでも、後ろから排出しなければ意味がないという考え方からです。こうしてヘルメット内部を前方から後方に向かってみてみると、かなりたくさんの穴が開いているのがわかります。前方から入った空気は、頭の形に添って後方に流れていき、ヘルメット後方の穴から排出されます。
理屈はわかっても、実際に体感できるかは別ですよね。カバーを付けた状態と、外した状態で走ってみました。8/27の午前中、この日は気温22~26度くらいと、それまでの猛暑日とはうってかわって涼しい日でした。アップダウンの続く山道を、前半をカバーをつけて、後半はカバーを外して走ってみたところ、全然違います。外すと風がさ~っと流れますが、つけるとぴたりと止まります。
結果、夏はまず外しっぱなしでしょう。カバーなんてつけたら暑くてえらいことになりますよ。
冬はつけっぱなしでしょうね。
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EHX6072 Z ALPHA
EHX6071 Z ALPHA MIPS
※Z ALPHAは、JCF(財)日本自転車競技連盟公認ヘルメットです。
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